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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第64章

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気持ちの変化

朝、目を開けた瞬間、

胸の奥がじんわり痛んだ。


俊介の腕の重さは、もうない。

でも、昨夜の“圧”だけが身体に残っている。


北海道で吸い込んだ、

あの軽い空気が恋しい。


雪の匂い。

結衣の笑い声。

居酒屋「(あかり)」の温かい光。

大和の気配だけが残る店内。


全部、夢みたいに遠い。


「子ども……欲しいね」


俊介の声が、

頭の奥で何度も反響する。


以前は、

その言葉を“未来”だと思っていた。


今は——

“鎖”に聞こえる。


自分の心が変わってしまったことを、

葵はようやく自覚した。

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