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探視
「楽しかった?」
俊介は笑っている。
けれど、その目は笑っていない。
「うん……まあ、普通に」
「ふぅん。誰と一番話した?」
「え……別に、みんなと……」
「写真、見せてよ」
言葉は優しいのに、
逃げ道を塞ぐような圧がある。
葵はスマホを取り出しながら、
心臓が少し早くなるのを感じた。
やましいことなんて何もない。
ただ、
俊介と距離を置けた数日間が
あまりに心地よかっただけ。
でも、その“心地よさ”こそが
俊介にとっては裏切りなのだと分かっている。
「なんか……雰囲気変わった?」
俊介の指先が、
葵の髪をすくうように触れた。
「え……そう?」
「俺のこと、忘れてなかったよね」
その言葉に、
背筋がひやりとした。
北海道で自由に呼吸していた自分が、
俊介の視線に絡め取られていく。




