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つながる灯り
「そうだ、大和。北海道支部とのコラボ、どうなってる?」
和田の声に、大和はスマホを開いた。
「来月にはメニュー固まると思います。店内はこんな感じで」
画面に映るのは、
北海道の居酒屋「灯」の店内写真。
木のカウンター。
柔らかい照明。
湯気の立ち方。
どれも“あの頃の灯”と重なる。
胸が、ふっと揺れた。
和田が「おお、雰囲気いいな。東京より明るいな」と笑う。
大和は画面を見つめたまま、
なぜか目を離せなかった。
葵が北海道の居酒屋「灯」に行ったことなど、
大和は知るはずもない。
ただ、
胸の奥がざわつく。
「……なんで、今なんだろうな」
店を出ると、
東京の夜風が頬を刺した。
美咲の命日。
葵の記憶。
消えたいいね。
東京と北海道の居酒屋「灯」。
全部が胸の奥で混ざり合う。
「……また来るか」
答えのない言葉を吐きながら、
大和は静かな東京の街を歩き出した。
まだ気づかないまま、
運命の影がそっと寄り添い始めていた。




