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いいねの灯り
ポケットのスマホが、
“あの感触”を思い出させる。
インスタのリールを開く。
画面には、ただの動画が流れているだけ。
でも、大和の指先は、
そこに一瞬だけ灯った“いいね”の重さを覚えていた。
「……気のせいじゃないと思うんだけどな」
呟いた声は、湯気に溶けて消えた。
確信はない。
でも、胸の奥が静かにざわつく。
美咲の命日に、
どうしてこんな気持ちになるのか分からない。
和田が「大丈夫か?」と笑って酒を注ぐ。
大和は曖昧に頷きながら、
スマホをそっと伏せた。
胸の奥で、
何かがゆっくりと目を覚まし始めていた。




