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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第61章

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北海道最後の夜②

結衣からの優しい言葉を読み返しながら、

葵はゆっくりと画面を開いた。


明日には東京に戻る。

俊介のいる家に戻る。

息苦しさの中に戻る。


この夜が終わったら、

また“いつもの自分”に戻らなきゃいけない。


だからこそ、

今だけは素直でいたかった。


震える指で、

ゆっくりと言葉を打つ。



「明日、東京に戻ります。

 なんだか…あっという間でした」



本当は、

戻りたくない。

このまま雪の中にいたい。


でもそんなこと、言えるはずがない。



「結衣さんとお話できて、

 本当に良かったです」



それは嘘じゃない。

むしろ、今日いちばんの本音だった。


結衣と話すと、

自分の気持ちが少しだけ整理される。

怖いけど、救われる。



「色々聞いてくださって、

 ありがとうございました」



送信ボタンを押す前に、

ふっと胸が痛んだ。


(……本当は、もっと話したいのに)


でも言えない。

言ってはいけない。


俊介の顔が浮かぶ。

大和の記憶が浮かぶ。

その間で揺れる自分が、

どうしようもなく苦しい。



「また…お話できたら嬉しいです」



それだけを残して、

葵はそっと送信した。


雪の降る北海道最後の夜。

葵の心は、

静かに、でも確かに揺れていた。

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