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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第61章

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北海道最後の夜①

またスマホが震えた。

結衣からの返信。



「無理に話さなくて大丈夫ですよ。

 葵さんが大切にしてた気持ちなんだろうなって」



優しい。

優しすぎる。


その優しさが、

胸を締めつける。


(……大切に、してた?

 そんな気持ち、持っていいはずないのに)


俊介の存在。

大和の奥さんの記憶。

全部がブレーキになる。


気づいてはいけない。

認めてはいけない。

言ってはいけない。


でも——

心はもう、止まらない。


明日には東京に戻る。

現実に戻る。


北海道最後の夜。

葵はスマホを胸に抱え、

静かに目を閉じた。


逃げられない気持ちが、

そっと形になり始めていた。

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