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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第61章

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ざわつく心

スマホが震えた。

結衣からの返事。



「すごく信頼してたんですね」



“恋”とは言わない。

でも、核心に近い。


胸がぎゅっと痛む。


(信頼……してた?

 そんなふうに思ったこと、なかったのに)


いや、違う。

思わないようにしていただけだ。


大和の声。

大和の手。

大和の笑顔。


全部、思い出したくなかった。

思い出したら、戻れなくなるから。



「助けてもらった記憶って、

 なかなか消えないですよね」



結衣の言葉は優しい。

でも、優しさが逆に刺さる。


俊介の束縛が頭をよぎる。

こんな気持ちを持ってはいけない。

絶対に。


葵は震える指で、

返事を打とうとして——

やめた。

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