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ざわつく心
スマホが震えた。
結衣からの返事。
「すごく信頼してたんですね」
“恋”とは言わない。
でも、核心に近い。
胸がぎゅっと痛む。
(信頼……してた?
そんなふうに思ったこと、なかったのに)
いや、違う。
思わないようにしていただけだ。
大和の声。
大和の手。
大和の笑顔。
全部、思い出したくなかった。
思い出したら、戻れなくなるから。
「助けてもらった記憶って、
なかなか消えないですよね」
結衣の言葉は優しい。
でも、優しさが逆に刺さる。
俊介の束縛が頭をよぎる。
こんな気持ちを持ってはいけない。
絶対に。
葵は震える指で、
返事を打とうとして——
やめた。




