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迷う夜③
結衣は、
葵からの既読がついたのを見て、
そっと息を吐いた。
(……返しづらいよね)
だから、
もう一歩だけ近づく。
押しつけにならないように。
でも、葵が言葉を出しやすいように。
「何年前くらいですか?
そのときの店長って、どんなでした?」
核心には触れない。
でも、確実に近づく。
“店長”
その言葉に、
結衣自身の胸も少し痛んだ。
踏み込みすぎたかもしれない…
(……大和さんのこと、
葵さんがどう覚えているのか知りたい)
送信したあと、
結衣はそっとスマホを伏せた。
雪の降る夜。
二人のDMは、
まだ触れない距離のまま、
静かに核心へ向かっていく。




