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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第59章

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迷う夜②

ホテルの部屋。

葵はベッドに座り、

スマホの画面をぼんやり見つめていた。


結衣からの新しいDMが届いている。



「以前働いていたお店って、どこだったんですか?」



(……聞いてくれるんだ)


胸の奥が、

少しだけ温かくなる。


でも同時に、

言葉にするのが怖かった。


居酒屋「(あかり)

その名前を出した瞬間、

自分の気持ちがはっきりしてしまいそうで。


(……どうしよう)


返事を打とうとして、

指が止まる。


消して、

また打って、

また消す。


踏み込んだら戻れない。

でも、踏み込まないと前に進めない。


その狭間で、

葵の指先は震えていた。

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