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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第56章

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唯一の味方

休憩室でスマホを見つめていた結衣は、

葵から返信が来ないことに気づいた。


(……やっぱり、気になってるよね)


「店長さん」という言葉。

あれはきっと、

葵が“忘れられない人”を思い出した証拠。


高田の名前を出すのも慎重になる。

ましてや、

“家族のこと”なんて軽く言える話じゃない。


(どうしたら……いいんだろう)


葵を傷つけたくない。

でも、嘘はつきたくない。

その狭間で、

結衣の胸も静かに痛んだ。


そっとスマホを握り直し、

短いメッセージを打つ。



「無理に気にしなくて大丈夫ですからね。

ゆっくり休んでください」



送信したあと、

結衣は小さく息を吐いた。


(……届くといいな)


葵の心の揺れが、

少しでも軽くなればいい。

そう願いながら、

結衣は画面をそっと閉じた。

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