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灯りが揺れる
結衣からの
「高田さん、少し大事な用事があってお休みだったんです」
というメッセージを読み返すたび、
葵の胸の奥がじんわりとざわついた。
(……大事な用事って、なんだろう)
聞かない方がいい。
ただの客が踏み込む話じゃない。
そう分かっているのに、
気持ちだけが先に動いてしまう。
昨日の店の前で立ち尽くした自分が、
頭の中で何度も再生される。
あの場所の香り・温度・空気……
(なんで……こんなに気になるの)
理由なんて分からない。
ただ、胸の奥が落ち着かない。
深呼吸しても、
時間が経っても、
そのざわつきは静かに広がっていく。
スマホを伏せて、
ホテルのベッドに背中を預ける。
雪の降る音は聞こえないのに、
なぜか胸の中だけが冷たかった。




