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微妙な間
結衣からの返信は、
いつもより少しだけ時間がかかった。
その“間”が、
葵の胸をざわつかせる。
「昨日は……高田さん、
少し大事な用事があってお休みだったんです。
お店に出られなくて……すみません」
(……大事な用事?)
その言葉に、
胸の奥がふっと冷たくなる。
ただの休みじゃない。
そんな気配が、
文章の隙間から静かに滲んでいた。
(家族のこと……とか?)
考えたくないのに、
勝手に想像してしまう。
昨日の店の前で立ち尽くした自分。
あの灯りの揺れ。
胸の奥の痛み。
全部がひとつに重なって、
葵はスマホを握りしめた。
(……聞かない方がいいよね)
でも、
胸の奥に残るざわつきは消えない。
雪が静かに降り続ける窓の外を見つめながら、
葵はそっと息を吐いた。
(……どうしてこんなに気になるんだろう)
その答えは、
まだ自分でも分からなかった。




