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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第55章

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微妙な間

結衣からの返信は、

いつもより少しだけ時間がかかった。


その“間”が、

葵の胸をざわつかせる。



「昨日は……高田さん、

少し大事な用事があってお休みだったんです。

お店に出られなくて……すみません」



(……大事な用事?)


その言葉に、

胸の奥がふっと冷たくなる。


ただの休みじゃない。

そんな気配が、

文章の隙間から静かに滲んでいた。


(家族のこと……とか?)


考えたくないのに、

勝手に想像してしまう。


昨日の店の前で立ち尽くした自分。

あの灯りの揺れ。

胸の奥の痛み。


全部がひとつに重なって、

葵はスマホを握りしめた。


(……聞かない方がいいよね)


でも、

胸の奥に残るざわつきは消えない。


雪が静かに降り続ける窓の外を見つめながら、

葵はそっと息を吐いた。


(……どうしてこんなに気になるんだろう)


その答えは、

まだ自分でも分からなかった。

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