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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第54章

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詰まる距離②

結衣からの質問は、

驚くほど自然で、優しかった。


(……話しやすい人だな)


葵は少し考えてから、

ゆっくりと返信を打つ。



「東京からです。

会社の旅行で来ました」



送信したあと、

胸の奥がじんわり温かくなる。


すぐに結衣から返信が届いた。



「東京なんですね!

寒さ、大丈夫でしたか?」



(……またすぐ返ってきた)


でも、

その“すぐ”が嫌じゃない。


むしろ、

少しだけ安心する。


葵はまた考えて、

短く返す。



「大丈夫でした。

ありがとうございます」



やり取りを続けるうちに、

昨日の店の前で感じたざわつきが

胸の奥で静かに揺れ始めた。


(……あの時、なんであんなに気になったんだろう)

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