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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第53章

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結衣と葵②

結衣からの返信は、驚くほど早かった。


画面が光った瞬間、

葵の胸がまたざわつく。



「本当に、来てくださって嬉しかったです。

雪降ってて大変じゃなかったですか?」



(……優しい)


でも、その優しさが逆に胸を締めつける。


昨日の店の前で立ち尽くした自分。

あの灯り。

大和の不在。

全部が胸の奥で混ざり合って、

言葉がうまく出てこない。


(……どう返せばいいんだろう)


「大変でした」と言うのも違う。

「楽しかったです」と言うのも嘘になる。


葵は何度も文章を打っては消し、

ようやく短い言葉を送った。



「大丈夫でした。

お気遣いありがとうございます」



送信したあと、

胸の奥がじんわり熱くなる。


(……なんでこんなに緊張するの)

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