自分の気持ちがわからない
大和のアカウントを閉じたあとも、
胸のざわつきは消えなかった。
(……なんで、こんなに気になるの)
自分でも理由が分からない。
ただ、心の奥がずっと落ち着かない。
ふと、
フォローリクエストの通知が頭をよぎる。
(……あの人)
誰か分からない。
でも、あの柔らかいアイコンの雰囲気が、
昨日の見た女性の横顔と
どこか重なる気がしてしまう。
(まさか……そんな偶然)
否定しようとするのに、
胸の奥が勝手に跳ねる。
葵は再び通知を開いた。
アイコンがそこにあるだけで、
心臓がざわつく。
(……承認したら、どうなるんだろう)
怖い。
でも、知りたい。
この人が誰なのか。
どうして自分をフォローしようとしたのか。
指が“承認”のボタンの上で止まる。
(……ダメだよ。知らない人だし)
そう思うのに、
指は動かない。
昨日の店の灯り。
木の匂い。
そこにあるはずの大和の声。
全部が胸の奥で混ざり合って、
自分でも整理できない。
(……どうして私は、こんな気持ちになるの)
葵はスマホを胸に抱え、
深く息をついた。
承認できない。
でも、拒否もできない。
雪の降る夜。
静かなホテルの部屋で、
葵の心は、まだ答えを出せずに揺れていた。




