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雪灯り
検索結果に並んだ写真の中から、
葵はひとつのサムネイルに指を伸ばした。
木の扉。
柔らかい電球色の灯り。
昨日、胸の奥に残ったあの空気。
(……ここだ)
タップした瞬間、
心臓がひとつ跳ねた。
画面に広がるのは、
居酒屋「灯」の公式アカウント。
(公式アカウントあったんだ…)
店内の写真。
カウンターの木目。
料理の湯気。
どれも昨日の記憶と重なる。
(……本当に、あの店だ)
胸の奥がじんわり熱くなる。
昨日の宴会のざわめき。
店の前で吸い込んだ木の匂い。
ここに店長がいる……。
思い出したくないのに、
思い出してしまう。
(なんで……こんなに気になるんだろう)
葵はスマホを握りしめたまま、
しばらく画面を見つめていた。




