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たどり着いたアカウント
葵のアカウントを開こうとすると、
鍵がかかっていた。
(……そっか。見れないんだ)
でも、プロフィールの小さなアイコンだけでも、
昨日の女性の雰囲気と重なる気がした。
優しい色。
静かな佇まい。
どこか寂しげな空気。
(この人が……大和さんの……)
胸の奥がぎゅっと締めつけられる。
結衣は迷った。
フォローするなんて、踏み込みすぎかもしれない。
でも——
放っておけなかった。
さっき、店の前で立ち尽くしていた姿。
大和の動画の“消しきれてなかったいいね”
宴会動画の中の、無理に笑っていた横顔。
全部が一本の線で繋がってしまった。
(……知りたい。
この人が、どんな気持ちであそこに立っていたのか)
結衣は息を吸い、
そっとフォローボタンを押した。
フォローボタンが「リクエスト済み」に変わる。
その瞬間、
胸の奥で小さな灯りがともった。
雪の降る夜。
静かな店内で、
結衣はスマホを胸に抱えたまま、
しばらく動けなかった。




