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消えたはずの「いいね」
閉店後の静かな店内。
結衣は片付けを終えると、
ふとスマホを手に取った。
(……さっきの人)
店の前で立ち尽くしていた女性。
看板を見つめる目が、どこか切なかった。
気になって仕方がない。
胸の奥がざわつく。
結衣は、大和のインスタを開いた。
大和が以前ぽつりと言っていた言葉を思い出す。
「……いいねがついたけど、すぐ消えたんだよな」
そのときの大和の表情は、
どこか寂しげで、
でも嬉しそうでもあった。
(消えたって言ってたけど……本当に全部消えてるのかな)
結衣は投稿を一つずつ遡り、
“いいね”の一覧を開いていく。
スクロールする指が止まった。
(……あれ?)
見覚えのないアカウント名。
でも、どこかで見た気がする。
さっきの女性の横顔が、ふっと脳裏に浮かんだ。




