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導かれるように
午後は自由行動。
同僚たちはショッピングモールへ向かうという。
「葵ちゃんは?」
「……ちょっと疲れちゃって。ホテル戻るね」
そう言ったのに、ホテルの方向へは歩かなかった。
気づけば、雪の街をひとりで歩いていた。
足が勝手に動く。
行くつもりなんてなかったのに。
(……なんで、私こんなことしてるの)
胸の奥がざわざわして、落ち着かない。
でも、足は止まらない。
曲がり角をいくつか過ぎた頃、
見覚えのある看板が視界に入った。
「……灯」
昨日、宴会で訪れた店。
ただの偶然のはずなのに、
心臓が跳ねるように痛んだ。




