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蘇る灯り
宴会が終わり、
帰り際にお会計をしてくれた女性店員と目が合った。
その瞬間、胸の奥で何かが弾けた。
(この人……どこかで……)
でも思い出せないまま、店を出る。
外に出ると、雪の匂いがふわりと鼻をくすぐった。
その瞬間——
記憶が一気に繋がった。
(……インスタのリールの人だ)
結衣。
大和の店で働いていた女性。
優しい声で、落ち着いた笑顔で、
居酒屋「灯」の空気を映していた人。
そして——
東京でバイトしていた頃の記憶が蘇る。
木のカウンター。
夜の灯り。
大和の声。
あの頃の自分。
忘れていた色が、
急に胸の中に戻ってくる。
探してしまった人に気づいて、
胸がぎゅっと締めつけられた。
もしかして…
この中に店長がいる?
店を出てしまった今、振り返っても店内は見えない。
当然聞きに戻ることもできなかった。
ただ、雪が静かに降り続けていた。




