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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第45章

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彷徨う情緒

夜中。

俊介が寝息を立てる横で、

葵はひとりスマホを握りしめていた。



(どうして……こんな気持ちになるんだろう)



大和の声を思い出す。

「無理しないでくださいね」

「休めるときに休んでください」



その言葉が、

葵の沈んだ心にそっと触れてくる。



(こんな情緒で……

 子どもなんて、持てるわけない)



涙がにじんだ。



俊介の未来を背負うなんて、

今の自分には到底できない。



でも——

大和の更新通知が欲しい。

声が聞きたい。

笑顔が見たい。



(フォロー……したい)



指が震える。

押せない。

でも押したい。



葵の心は、

暗い部屋の中で

行き場をなくして彷徨い続けていた。

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