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彷徨う情緒
夜中。
俊介が寝息を立てる横で、
葵はひとりスマホを握りしめていた。
(どうして……こんな気持ちになるんだろう)
大和の声を思い出す。
「無理しないでくださいね」
「休めるときに休んでください」
その言葉が、
葵の沈んだ心にそっと触れてくる。
(こんな情緒で……
子どもなんて、持てるわけない)
涙がにじんだ。
俊介の未来を背負うなんて、
今の自分には到底できない。
でも——
大和の更新通知が欲しい。
声が聞きたい。
笑顔が見たい。
(フォロー……したい)
指が震える。
押せない。
でも押したい。
葵の心は、
暗い部屋の中で
行き場をなくして彷徨い続けていた。




