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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第45章

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ぐるぐる迷う

葵は、仕事から帰ってきたあと、

玄関でしばらく動けなかった。



(今日も……しんどかった)



俊介の優しさは、

今の葵には重すぎる。



「家族になりたい」

「葵には俺しかいない」


その言葉が、

胸の奥でずっと響いている。



(子どもなんて……無理だよ)



自分の身体のことも、

心のことも、

誰より自分が分かっている。



そんなとき、

ふと大和の笑顔が浮かんだ。



(なんで……今、思い出すの)



分からない。

でも、思い出すだけで

胸の奥が少しだけ軽くなる。



その軽さが、

今の葵には救いだった。

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