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拘束
夜。
葵が寝静まったあと、
俊介は暗いリビングでひとり座っていた。
(葵……最近、俺を避けてないか)
そんなはずはない。
そう思いたいのに、
胸の奥のざわつきが止まらない。
葵がふと遠くを見るような目をすると、
心臓がきゅっと縮む。
(俺だけを見てくれればいいのに)
その願いは、
優しさの形をしているのに、
どこかで“縛り”に変わっていた。
俊介は気づいている。
自分の中のこの感情が、
少しずつ歪んでいることに。
でも、止められなかった。
(葵がいなくなったら……
俺はどうすればいいんだ)
不安が、
葵への愛情と同じ形をして迫ってくる。
葵の沈みを救いたい。
でもそれ以上に、
葵を手放したくない。
その気持ちが、
俊介の胸を静かに締めつけていた。




