150/271
一瞬の灯り
「この前の“いいね”……
本当にその子だったんですか?」
結衣の問いに、
大和は苦笑した。
「分からない。
でも……名前は見えた。
すぐ消えたけど」
その一瞬の光景が、
胸に焼きついて離れない。
「気のせいかもしれないし、
ただの偶然かもしれない。
でも……」
大和はスマホを見つめた。
「その瞬間だけ、
胸が軽くなったんだ」
結衣は優しく微笑んだ。
「灯りみたいですね。
一瞬でも、
暗い場所を照らしてくれる灯り」
その言葉に、
大和の胸が静かに揺れた。
(灯り……か)
葵の名前を胸の奥でそっと呼んだ。




