148/271
揺れる灯り
「さっきの話……
まだ続き、ありますよね?」
結衣の声は、
灯りのように柔らかかった。
大和は少しだけ息を吸った。
「……あるよ」
言葉にした瞬間、
胸の奥がきゅっと締まる。
「美咲が亡くなって、
東京にいる意味がなくなった。
全部が思い出に変わって……
息ができなくなった」
結衣は黙って聞いている。
「だから北海道に戻った。
実家の近くで、
もう一度“灯り”をつけたかったんだ」
居酒屋「灯」。
東京で美咲と出会うきっかけになった職場。
北海道に戻ってもこの店とは離れられない。
「でも……
それでも時々、
あの子の顔が浮かぶんだよ」
結衣の目が揺れた。
「……その子、
大和さんにとって特別なんですね」
大和は否定できなかった。




