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結衣の気付き
閉店後の居酒屋「灯」。
暖簾を下ろしたあと、
結衣がふと大和の横に座った。
「大和さん、最近……誰かのこと考えてますよね」
その言葉に、
大和の胸がわずかに揺れた。
「なんでそう思うんだよ」
「声が違うんです。
リール撮るときの声……
誰かに届いてほしいみたいな声でした」
大和は返事ができなかった。
結衣は続ける。
「無理に言わなくていいですけど……
大和さん、ずっと何か抱えてる気がして」
その優しさが、
胸の奥の古い傷に触れた。




