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小さな小さな灯り
スマホが震えた。
通知を見ると、大和の新しいリールが上がっていた。
(……見ちゃだめ)
そう思うのに、
指は勝手に画面を開いていた。
画面の中の大和は、
いつもの落ち着いた声で話し始める。
「こんにちは、高田 大和です。
今日はちょっと疲れ気味なんですけど……
まぁ、なんとかやってます」
その声を聞いた瞬間、
葵の胸の奥がふっと軽くなった。
(あ……息ができる)
理由なんて分からない。
ただ、大和の声は
葵の沈んだ心にそっと触れてくれる。
「皆さんも無理しないでくださいね。
休めるときに休んでください」
その言葉に、
葵の目に涙がにじんだ。
(私のことなんて知らないのに……
どうしてこんなに優しいんだろう)
動画を閉じたあと、
葵はスマホを胸に抱えた。
俊介の未来は重い。
逃げ場がない。
でも——
大和の声だけが、
沈んでいく心に小さな灯りをともしてくれる。




