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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第40章

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もどかしさ

夜の営業が始まる前、

大和はもう一度スマホを見た。



投稿したリールには、

まだほとんど反応がない。



(そりゃそうだよな)



店の紹介でも料理でもない。

ただの自分の声。



でも、どこかで期待している自分がいた。



(……見てくれたら、いいな)



誰が、とは言わない。

言えない。



結衣が暖簾を出しながら言った。



「大和さん、今日の声……

 なんか、誰かに届いてほしいみたいでした」



その言葉に、

大和の胸が静かに揺れた。



(届くわけないだろ)



そう思うのに、

心のどこかで、

“届いてほしい誰か”を思い浮かべてしまう。



及川さん。



その名前を胸の奥に沈めたまま、

大和は店の灯りをつけた。

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