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誰かへの気持ち
動画を撮り終えたあと、
大和はしばらく画面を見つめていた。
(こんなの、誰が見るんだよ)
そう思いながらも、
投稿ボタンを押してしまう。
「大和さん、何してるんですか?」
結衣がカウンターから顔を出した。
「ああ、ちょっと……近況報告?」
「へぇ、珍しいですね。
誰に向けて?」
その言葉に、大和は一瞬固まった。
「いや、別に……誰ってわけじゃないよ」
結衣は微笑む。
その笑顔は、どこか見透かしているようだった。
「そうですか。
でも……なんか、優しい声でしたよ」
大和は返事ができなかった。
(優しい声……誰に向けて?)
自分でも分からない。
でも、胸の奥に浮かぶ名前はひとつだけだった。




