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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第39章

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夜。

俊介は葵の隣に座り、

そっと手を握った。



「葵……俺たち、もっと“家族”になれたらいいなって思ってる」



声は優しい。

優しすぎるほどに。



葵は少し驚いた顔をした。



「家族……?」



俊介は微笑む。

その笑顔の奥に、焦りが隠れていることに葵は気づかない。



「うん。葵には俺しかいないし……

 俺も、葵だけでいい。

 だから……もっと強い絆があったら、安心できると思うんだ」



葵の胸がざわついた。

理由は分からない。

でも、どこか息がしづらくなる。



俊介は続ける。



「子どもがいたら……きっと、もっと家族になれるよね」



その言葉は、

優しいのに、逃げ場がなかった。



葵は笑ってごまかした。

でも胸の奥では、

何かが静かに沈んでいく音がした。



俊介は、葵の手を強く握った。



「葵……俺たち、ずっと一緒だよね」



その声は、

愛の形をしているのに、

どこか鎖のようだった。

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