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癒しの灯り
動画を閉じたあと、
葵はスマホを胸に抱えた。
(店長……大和さん)
名前を思い浮かべるだけで、
胸の奥がじんわり温かくなる。
でもその温度が、
すぐに罪悪感へと変わる。
(俊介に……悪い)
俊介の不安そうな目が浮かぶ。
あの優しい声。
あの“確認するような”距離の近さ。
(私がちゃんとしてれば……)
そう思うほど、
胸の奥が沈んでいく。
玄関の鍵が回る音がした。
葵は慌ててスマホを裏返し、
クッションの下に滑り込ませた。
俊介が部屋に入ってくる。
「葵、今何してたの?」
その声は優しいのに、
どこか探るようで、
どこか怯えていた。
葵は笑ってごまかした。
でも胸の奥では、
大和の声だけが静かに響いていた。
触れてはいけない灯りに、また手を伸ばしてしまった。




