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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第37章

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心に刺さる棘

閉店後。

片付けを終え、

大和はカウンターに腰を下ろした。



結衣が隣に座る。

いつものように、少し距離を空けて。



「今日の大和さん……

 なんか、誰かのこと考えてましたよね」



大和は息を呑んだ。



「別に。そんなことないよ」



「嘘です」



結衣は優しく笑う。

責める気配は一つもない。



「……その人、大事なんですね」



その言葉が胸に刺さった。



大和は答えられない。

答えたら、何かが変わってしまいそうで。



結衣は続ける。



「大和さんが幸せなら、それでいいんです。

 でも……考えないようにって言い聞かせて

 逃げてるように見えました」



逃げてる。

その言葉が、静かに心に落ちた。



(俺……何から逃げてるんだ)



答えはまだ分からない。

でも、胸の奥で揺れている名前だけは、

はっきりしていた。


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