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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第37章

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どこかに向かう心

昼の仕込み。

包丁の音が一定のリズムで響く。



大和は手を動かしながら、

頭のどこかが別の場所にいた。



(……及川さん)



名前を思い出すたび、胸がざわつく。

いつかの“いいね”の通知は消えている。

証拠なんて何も残っていない。



それでも、確かに見た。

あの名前を。



「大和さん、今日ぼーっとしてますよ」



結衣の声で我に返る。



「あ、悪い。寝不足でさ」



笑ってごまかす。

でも結衣は、じっと大和の横顔を見ていた。



(……気づいてるな)



そう思うと、余計に胸が落ち着かなくなる。

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