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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第36章

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偏愛

夜。

俊介は葵の隣に座り、

そっと手を握った。



「葵……俺、ちゃんと向き合いたいんだ」



声は震えていた。

不安を隠しきれない。



「最近の葵、なんか遠い。

 俺、怖いんだよ……」



葵は何も言えなかった。

俊介の手は温かいのに、

その温度がどこか重かった。



(私がちゃんとしてれば……)



葵の沈黙が、俊介の不安をさらに煽る。



「ねぇ、俺のこと……嫌いになった?」



その言葉は、

優しさの皮をかぶった刃のようだった。



葵は首を振る。

でも俊介は、信じきれない。



(俺以外の何かに、葵が心を向けてる)



その確信が、

俊介の胸の奥で静かに膨らんでいく。



守りたい。

離れたくない。

失いたくない。



その気持ちが、

少しずつ、確実に歪んでいく。

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