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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第36章

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監視

俊介は、葵の表情の変化に敏感だった。

ほんの少し目が伏せられただけで、胸がざわつく。



「葵、今日なんかあった?」



声は優しい。

優しいけれど、どこか“確認”の色が混じる。



「……別に」



葵がそう答えると、俊介の胸の奥がきゅっと痛んだ。



(嘘だ。何か隠してる)



そう思うほど、葵の沈んだ目が気になって仕方ない。



(俺がちゃんと見てあげないと)



その“守らなきゃ”という気持ちが、

いつの間にか“監視しなきゃ”に変わっていく。



葵がスマホを触るたび、

俊介の心臓は跳ねた。



「誰と話してるの?」

「何見てるの?」

「俺にも見せてよ」



優しい声で、

優しい顔で、

でも逃げ場のない距離で。



葵の肩が小さく震えたのを見て、

俊介は胸が痛む。



(怖がらせるつもりなんてないのに)



でも、止められなかった。

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