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監視
俊介は、葵の表情の変化に敏感だった。
ほんの少し目が伏せられただけで、胸がざわつく。
「葵、今日なんかあった?」
声は優しい。
優しいけれど、どこか“確認”の色が混じる。
「……別に」
葵がそう答えると、俊介の胸の奥がきゅっと痛んだ。
(嘘だ。何か隠してる)
そう思うほど、葵の沈んだ目が気になって仕方ない。
(俺がちゃんと見てあげないと)
その“守らなきゃ”という気持ちが、
いつの間にか“監視しなきゃ”に変わっていく。
葵がスマホを触るたび、
俊介の心臓は跳ねた。
「誰と話してるの?」
「何見てるの?」
「俺にも見せてよ」
優しい声で、
優しい顔で、
でも逃げ場のない距離で。
葵の肩が小さく震えたのを見て、
俊介は胸が痛む。
(怖がらせるつもりなんてないのに)
でも、止められなかった。




