122/271
沈んでいく
動画を見終わったあと、
葵はスマホを胸に抱えた。
(見ちゃいけないのに……)
罪悪感が押し寄せる。
俊介の顔が浮かぶ。
あの不安そうな目。
(私がちゃんとしてれば……)
そう思うほど、
胸の奥がまた沈んでいく。
でも、大和の声が頭から離れなかった。
「今日も一日、お疲れさまです」
その言葉だけが、
沈んでいく心の底に
小さな灯りをともしていた。
(……また、見ちゃうのかな)
自分でも分からない。
でも、指は覚えている。
大和の投稿へ向かう道を。
玄関の鍵が回る音がした。
葵は慌ててスマホを裏返し、
布団の下に滑り込ませた。
俊介が部屋に入ってくる。
「葵、何してたの?」
その声は優しいのに、
どこか探るようで、
どこか怯えていた。
葵は笑ってごまかした。
でも胸の奥では、
大和の声だけが静かに響いていた。




