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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第34章

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静かに広がる揺れ

閉店後。

片付けを終え、

大和は一人でカウンターに座った。



スマホを開く。

昼間の通知はもう消えている。

“いいね”も、跡形もない。



(……本当に、及川さんだったのか)



確かめようがない。

でも、胸の奥のざわつきは消えなかった。



「大和さん」



結衣が声をかけてきた。

帰り支度をしながら、

少しだけ心配そうな顔をしている。



「今日の大和さん、なんか……

 誰かのこと、思い出してるみたいでした」



図星だった。



でも結衣は続ける。



「……その人、大事なんですね」



大和は答えられなかった。

ただ、視線を落とす。



結衣はふっと笑った。



「大和さんが幸せなら、それでいいんです。

 だから……ちゃんと向き合ってくださいね」



その言葉は、

背中をそっと押すように優しかった。



大和の胸の奥で、

消えたはずの名前が静かに揺れ続けていた。

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