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見抜かれる
「大和さん、今日どうしたんですか?」
声をかけてきたのは、
バイトの結衣だった。
明るくて、気が利いて、
店の雰囲気を柔らかくしてくれる存在。
「え、別に。いつも通りだよ」
大和は笑ってごまかす。
でも結衣は、じっと大和の顔を見つめた。
「……嘘ですね」
その一言に、大和は言葉を失う。
「リール、3回撮り直してましたよね。
そんなの、初めて見ました」
結衣の声は優しい。
責める気配なんて一つもない。
ただ、心配している。
それだけが伝わってくる。
「なんか……ありました?」
大和は答えられなかった。
言葉にしたら、
胸のざわつきが本物になってしまいそうで。
結衣はそれ以上聞かず、
ただ静かに微笑んだ。
「大和さんが元気ないと、店も元気なくなるんで。
……無理しないでくださいね」
その言葉が、
胸にじんわり染みた。




