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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第33章

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震える手

夜。

いつものようにリールを撮ろうと、

大和は居酒屋「(あかり)」のライトを調整した。



スマホを構えた瞬間、

昼間の通知が頭をよぎる。



(……及川)



名前を思い出すだけで、

胸が少しだけ締めつけられた。



「よし、撮るか」



自分に言い聞かせるように呟き、

録画ボタンを押す。



結衣も含めたスタッフたちと一緒に笑顔を作る。

いつも通りのテンションで話す。



でも——

自分だけ

どこかぎこちない。



(なんでだよ……)



手がわずかに震えていた。



“いいね”は消えている。

本人が気づかず押しただけかもしれない。

深い意味なんて、ないのかもしれない。



それでも。

この画面越しに再会しているかも…なんて。



大和の心は、

静かに、確実に揺れ始めていた。

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