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急激に蘇る
午後の仕事に戻っても、
大和の頭の片隅には“及川”の名前が残り続けた。
(違うよな……でも)
あの頃の声がふと蘇る。
笑うときの癖。
困ったときの眉の下がり方。
弱さを見せるのがとても苦手な子。
全部、忘れたはずだった。
(なんで今になって……)
胸の奥がじんわり痛む。
懐かしさとも違う。
後悔とも違う。
ただ、静かに疼くような感覚。
同僚に「大和、今日ぼーっとしてない?」と笑われ、
慌てて仕事に意識を戻す。
でも、心は戻らなかった。
“いいね”は一瞬だった。
すぐに消えた。
それでも、確かにそこにあった。
その一瞬が、
大和の心に小さな波紋を落としていた。




