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見つけてはいけない名前
昼休み。
高田大和は、仕事の合間にふとスマホを開いた。
通知欄に、見慣れない名前があった。
「及川 葵さんがあなたの投稿にいいねしました」
一瞬、呼吸が止まった。
(……及川?)
まさか、と思う。
同姓同名なんていくらでもいる。
そう思い込もうとしたのに、
胸の奥がざわついて仕方なかった。
(いや、でも……)
指が勝手に動き、通知をタップする。
しかし、開いた先には——
いいねは消えていた。
(取り消した……?)
その事実が、逆に心を強く揺らした。
どうして今になって。
どうして俺の投稿なんかに。
答えはどこにもないのに、
胸の奥だけが熱く、重く、ざわついていた。




