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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第31章

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息をひそめる

夜。

俊介が隣で眠っている。


その寝息は穏やかで、優しい。

でも、葵の胸は静かに締めつけられていた。


(私って……どうしてこうなんだろう)


過去のストーカー。

本当に好きになった人には奥さんがいた。

そして今の夫は、優しいけれど、どこか壊れそう。


“自分が選ぶ相手はいつも何かが欠けている”

そんな考えが頭をよぎる。


でも——

別れようとは思わない。


俊介を傷つけたくない。

今離れたら、俊介が壊れてしまう気がする。

そして何より、

“私にはそんな資格がない”と思ってしまう。


(私が……ちゃんとしなきゃ)


葵は静かに目を閉じた。

沈んでいく音は、今日も誰にも聞こえない。

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