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息をひそめる
夜。
俊介が隣で眠っている。
その寝息は穏やかで、優しい。
でも、葵の胸は静かに締めつけられていた。
(私って……どうしてこうなんだろう)
過去のストーカー。
本当に好きになった人には奥さんがいた。
そして今の夫は、優しいけれど、どこか壊れそう。
“自分が選ぶ相手はいつも何かが欠けている”
そんな考えが頭をよぎる。
でも——
別れようとは思わない。
俊介を傷つけたくない。
今離れたら、俊介が壊れてしまう気がする。
そして何より、
“私にはそんな資格がない”と思ってしまう。
(私が……ちゃんとしなきゃ)
葵は静かに目を閉じた。
沈んでいく音は、今日も誰にも聞こえない。




