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自分の声が聞こえなくなる
買い物の帰り道、ふと立ち止まった。
風が冷たくて、
頬に触れるたびに現実へ引き戻される。
(なんで……こんなに苦しいんだろう)
俊介のことが嫌いなわけじゃない。
怖いわけでもない。
むしろ、優しさに守られているはずなのに。
でも最近、俊介の「心配だから」という言葉が、
まるで自分の自由を少しずつ奪っていくように感じてしまう。
(私が全部悪いんだよね)
こうなったのも全て自分が原因だと思えてしまう。
(私がしっかりしていれば……俊介は不安にならなかった)
そう思うほど、
自分の声がどんどん小さくなっていく。
気づけば、心の奥の“本当の気持ち”が聞こえなくなっていた。




