108/271
胸の奥に沈む重さ
朝、目が覚めた瞬間から、
胸の奥に重たい石が沈んでいるようだった。
息を吸うたび……
その石がゆっくり沈んでいく感覚がする。
理由は分からない。
俊介が何かしたわけでもない。
嫌なことがあったわけでもない。
ただ、心が静かに沈んでいく。
「大丈夫?」
俊介が覗き込むように声をかけてくる。
「うん、大丈夫だよ」
そう答えると、俊介は安心したように微笑んだ。
その笑顔を見るたび、胸がきゅっと痛む。
(私が……ちゃんとしなきゃ)
そう思えば思うほど、心はさらに沈んでいく。
沈んでいく音は、誰にも聞こえない。
俊介にも、葵自身にも。
ただ、胸の奥に広がる静かな重さだけが、
今日も変わらずそこにあった。




