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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第29章

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壊れそうな優しさ

布団に入ると、俊介がそっと手を握ってきた。


「葵……ずっと一緒にいような」


その声は優しい。

けれど、どこか必死で、どこか怯えている。


胸が痛んだ。


(私って……男運ないのかな)


過去のストーカー。

本当に好きになった人には奥さんがいた。

そして今の夫は、優しいけれど、どこか壊れそう。


“自分が選ぶ相手はいつも何かが欠けている”

そんな考えが頭をよぎる。


でも——

別れようとは思わなかった。


俊介を傷つけたくない。

今離れたら、俊介が壊れてしまう気がする。

そして何より、

“私にはそんな資格がない”と思ってしまう。


葵は静かに目を閉じた。

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