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壊れそうな優しさ
布団に入ると、俊介がそっと手を握ってきた。
「葵……ずっと一緒にいような」
その声は優しい。
けれど、どこか必死で、どこか怯えている。
胸が痛んだ。
(私って……男運ないのかな)
過去のストーカー。
本当に好きになった人には奥さんがいた。
そして今の夫は、優しいけれど、どこか壊れそう。
“自分が選ぶ相手はいつも何かが欠けている”
そんな考えが頭をよぎる。
でも——
別れようとは思わなかった。
俊介を傷つけたくない。
今離れたら、俊介が壊れてしまう気がする。
そして何より、
“私にはそんな資格がない”と思ってしまう。
葵は静かに目を閉じた。




