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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第28章

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静かに歪む愛

夜。

俊介は眠る葵の横顔をじっと見つめていた。


(俺の妻だ。俺が守る)


その想いは純粋だった。

けれど、胸の奥に広がるのは“守りたい”だけではない。


(離れないでくれよ……葵)


指先が葵の髪に触れる。

その動きは優しいのに、

どこか必死で、どこか怯えていた。


葵が寝返りを打つと、俊介の心臓が跳ねる。


(もし……誰かのことを考えてたら)


その瞬間、胸の奥に黒い影が落ちた。


“確かめたい”

“知りたい”

“逃がしたくない”


そんな言葉が、静かに形を持ち始める。


俊介は気づかないふりをした。

自分の愛が、

少しずつ歪み始めていることに。

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