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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第28章

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優しさの形をした監視

「今日、どこ行ってた?」

俊介の声は穏やかだった。


葵は少し驚きながら答える。

「スーパーと、薬局だけだよ」


「そっか。心配でさ。最近、帰り遅い日あるから」


優しい言葉。

でも、その奥にある“何か”が、葵の胸をざわつかせた。


俊介は続ける。

「GPSアプリ、入れとこうか。お互い安心だし」


冗談めかして笑う。

けれど、その目は笑っていなかった。


(……どうしたの、俊介)


葵は笑ってごまかしたが、

俊介の指先が自分のスマホに触れた瞬間、

背筋がひやりとした。


俊介は気づいていない。

自分の優しさが、

“境界線を越え始めている”ことに。


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