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優しさの形をした監視
「今日、どこ行ってた?」
俊介の声は穏やかだった。
葵は少し驚きながら答える。
「スーパーと、薬局だけだよ」
「そっか。心配でさ。最近、帰り遅い日あるから」
優しい言葉。
でも、その奥にある“何か”が、葵の胸をざわつかせた。
俊介は続ける。
「GPSアプリ、入れとこうか。お互い安心だし」
冗談めかして笑う。
けれど、その目は笑っていなかった。
(……どうしたの、俊介)
葵は笑ってごまかしたが、
俊介の指先が自分のスマホに触れた瞬間、
背筋がひやりとした。
俊介は気づいていない。
自分の優しさが、
“境界線を越え始めている”ことに。




