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scene8 章の締め ― 正しい声は誰のものか
沈黙は、再び意味を与えられた。
それは、精霊が語った答えではない。
語られなかったものに、人の側が被せた形だった。
正しい声とは、
真実を含んでいる声ではなかった。
不安を終わらせる声。
問いを閉じる声。
撤回されず、修正されず、
管理できる声。
その条件を満たしたものだけが、
「正しい」と呼ばれた。
精霊は、なお沈黙している。
だが街は、もう沈黙を恐れていなかった。
恐れるべきものには、
すでに名前が与えられていたからだ。
そしてその名を語る声が、
選ばれた。




