表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
癒しのエルフ  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/127

scene8 章の締め ― 泣かない子ども

子どもは、泣かなかった。


転んでも、血が滲んでも、声を上げない。

助けを求める視線すら、外に向けない。


それは、強さではなかった。


泣く理由を、

泣く必要を、

泣くことが許される場所を、

ただ、失っていただけだった。


泣くという行為は、弱さではない。

関係を結ぶための、最初の呼びかけだ。


その呼びかけが消えた街で、

精霊は、沈黙していた。


語らなかったのではない。

応える相手を、見つけられなかった。


そして彼女は――

その沈黙を、

「立てている証」だと訳してしまった。


立っていることと、支え合えることは違う。

倒れないことと、救われていることは違う。


その誤訳は、

罰の形を取らず、

誰も即座に傷つけることもなく、

静かに、確実に作用した。


子どもたちから、

泣く未来を奪うかたちで。


風は、今日も街を通り過ぎる。

だが、そこに応える声はない。


――第9章・了。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ