表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
癒しのエルフ  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/127

scene8 章の締め ― 沈黙する街

ティエナは、朝の交易路を歩いた。


荷車は定刻通りに動き、

門は静かに開き、

通行証の確認も滞りなく終わる。


誰も、彼女を呼び止めない。


去る理由を問う者もいない。

残ってほしいと願う声もない。


別れは、摩擦を生まないように整えられていた。


門を出る直前、

一人の商人が、形式通りに頭を下げる。


「ご滞在、ありがとうございました」


それ以上の言葉は続かない。

感謝は示されるが、余韻は残らない。


ティエナは、軽く頷き、街を後にする。


背後で、都市〈エル=カナ〉は、

変わらず機能し続けている。


争いは、なかった。

悲鳴も、なかった。

混乱も、救済も、必要とされなかった。


だからこそ――

精霊は、沈黙していた。


声を拒んだのではない。

呼ばれなかったのだ。


沈黙は、

拒絶よりも深い断絶である。


その断絶は、傷ではなく、完成に近い形をしていた。


ティエナは振り返らない。


この街に、彼女の癒しが残る余地はない。


沈黙だけが、

完全に、整っていた。


――第7章・了。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ